Tree of Savior Japan 公式
/2023年 04月 05日
皆様こんにちは、imcGAMESです。
弊社は今年で創立20周年を迎えましたため、この場を借りてユーザーの皆様にご挨拶させていただきます。
まず長い間imcGAMESを応援してくださり、私達のサービスを利用してくださったユーザーの皆様に、深く感謝お礼申し上げます。
皆様のおかげで決して短いとはいえない時間の間、ゲーム事業を維持しつつ技術を開発しながら成長していくことができました。
過ぎ去った時間の記憶に安住せず、引き続き新たな「楽しい」の世界への発展を止めないという希望を、皆様と共に歩んでいきたいと願っております。
2010年代以降、AI技術が急激に浮上しながら、社会の各分野で大きな影響と変化の大波が押し寄せてきています。ゲーム分野もまた例外ではありませんでした。
その中でも人間固有の領域だと思われていた創作の領域にまでAI技術の影響を受けていることを見て、これは克服しなければならない危機であると同時にゲームの面白さと楽しさをさらに一段階引き上げられる機会ではないかと考えました。
AI技術がゲームの開発とプレイヤーに及ぼす影響は非常に広範囲ではありますが、まず注目し始めた点は、目に直接見えるものであり体感的にも手ごたえを感じる部分でした。
「Stable Diffusion(ステイブル・ディフュージョン)」と呼ばれるAIのイラスト製作技術は、昨年の発表以来、急激な技術的成長を遂げました。私達はこの技術に弊社が長きにわたって開発・サービスを提供してきたIPである「グラナド・エスパダ」と「Tree of Savior」のコンテンツを学習させることを目標にして研究してきました。本日はその一次結果をご覧いただきたく思います。
先のエイプリルフールにて、「グラナド・エスパダ」と「Tree of Savior」の簡単なデジタルフィギュアを製作し、公開しました。エイプリルフールのイベントとして製作した画像であり、且つ実物として存在しているものではありませんが、予想外の高いクオリティと自社IPの特徴を生き生きと描写できる能力を持っていることを確認できました。SNS上でも画像を見た大半のユーザーの皆様からは、クオリティに対して満足と期待をいただけました。
<Tree of Savior フィギュア風>
まずはキャラクターとアートスタイルを学習させてから、フィギュア風にキャラクターを表現すること以外でも多種多様な方法を試すことができました。様々な試みの中で意味があると感じたものの一つは「ファンアート」製作でした。
愛情がこもった自分のキャラクターをカスタマイズできるMMORPGのコミュニティでもよく見かける要素の一つに属している「自キャライラスト」を描く文化は皆様もご存じだと思われます。何も知らず力も今より弱かった初心者時代から今までを楽しんできた自分の愛情がこもったキャラクターの姿を記録し、他のみんなに見てもらいたいという特別な感情は、決められた外見を持つキャラクターのみを使用してプレイするゲームでは得られないMMORPGならではの価値だと考えております。
<アクションフィギュア風(左)、新しいチマチョゴリを着せてみた図(右)/Tree of Savior>
こういった自分のキャラクターの「自キャライラスト」を作るためには、イラスト製作の技術を持つアーティストの時間を多く所要します。しかし、AI技術で十全に学習させられたモデルを確保できれば、ファンアートの「無限生産」が可能になります。様々な応用ポーズと背景テーマ、絵柄の組み合わせによっては自分のキャラクターが無数の環境で活動する姿を描き出すことができます。
<同じキャラクターを様々な画風で/グラナド・エスパダ>
現実の人物がゲームキャラクターをコスプレすることも、IPの重要な活用の内の一つです。しかし高いクオリティのコスプレを製作するのは非常に多くの時間や費用、努力が必要となります。AIの実写モデルとゲームIPを学習させたモデルを組み合わせれば、実質上のコスプレ写真も簡単に製作できます。
<仮想人物によるコスプレ/グラナド・エスパダ>
また、それぞれ固有の画風でデザインされていた原作のキャラクターを様々な画風に変えることで、新鮮な感覚を経験できます。
<様々な画風のグラナド・エスパダ>
<アニメーション風のTree of Savior>
<実写化フィギュア、アニメーションをミックス/グラナド・エスパダ>
<同じキャラクターのTS/グラナド・エスパダ>
可能性はこれだけに留まりません。もし「グラナド・エスパダ」と「Tree of Savior」のキャラクター要素2つを組み合わせることができたらどうなるのでしょう?それも5:5、2:8、7:3、9:1など様々な割合で可能だとしたら結果どんなものが生まれるのか気になったので試してみました。
<グラナド・エスパダ×Tree of Savior>
上記の例のように、このような過程を現在急速に発展させているAIツールの活用を極大化させる計画を準備しております。私達が準備しているものとは、ユーザー様方の個々のゲーム内キャラクターを自動で学習させる技術です。高品質のAIモデルを学習させるのに多くの時間や費用、専門の技術が必要となりますが、私達はこういったAI技術の価値を誰もが簡単に享受できるようなるための技術を作っています。
その一次結果として、今回公開したエイプリルフール用のデジタルフィギュア風アートを公開だけで終わらせずに、ユーザー様方のキャラクター画像の受付を行い、AIアートを製作してプレゼントするというイベントを開催中です。
▼イベント「眠るクポル、フィギュアの夢を見る」開催中!
この絵が「グラナド・エスパダ」と「Tree of Savior」が好きな方へのちょっとしたプレゼントになればと思っています。 今回のイベントはその第一弾であり、「グラナド・エスパダ」と「Tree of Savior」のゲーム内で、ユーザーの皆さんが誰でも最小限の操作で自分のキャラクターのAIモデルを学習させ、様々な画像を生成できる機能を開発中です。皆さんもAI技術を利用して画像を作っているうちに、自分の中に隠れていたアーティストとしての素質を発見できるかもしれません。
<異なる画風のイラスト風(左)とウェブトゥーン風(右)/Tree of Savior>
AI技術によって綺麗なアートを作り出すことに成功したら、一人で鑑賞するだけでなく、他のユーザーと共有したり、他のユーザーはどのような絵を作り出しているのか気になるはずです。 複数の人と一緒に遊ぶMMORPGは、そのような活動に理想的な基盤となるのではないでしょうか。現在のコミュニティ機能を強化し、複数のユーザーが作成したAI画像を共有し、鑑賞できるように開発を進めています。
画像生成AIだけでなく、テキスト生成AIも大きな可能性と影響力を示しています。 特にChatGPTが見せた人間に近い会話能力と推論能力は、誰もが驚かされました。
これらの部分も、ゲームの世界での新しい体験を可能にしてくれるのではないかと期待しています。私たちは対話型AIボットにゲーム上の設定を学習させ、ゲーム内のように会話する技術にも関心を向けて研究を進めております。
簡単には、ゲーム内のクエストを豊かに自動化することから始まり、ゲーム内のNPCと直接会話をするといった部分まで発展させることを研究しています。最終的には独自の言語モデルを完全に学習させ、ゲーム内ユーザーの物語、プレイヤーの活動が伝説のように残るといった世界観が作られることを期待しています。あるいは、自分のプレイ履歴を学習したAIキャラクターが私の冒険物語を直接小説のように語ったり、プレイ体験をテーマに話している様子も想像できます。
言語AIと画像AIは単独でも魅力的ですが、組み合わせればさらに大きな可能性が開けるでしょう。このあたりは、学界や専門の産業界でも活発に研究が行われている分野です。
私達imcGAMESも、この点を最終的な目標として研究開発を進めております。
<この画像はとあるGMの絵柄を学習させて作成したものです>
いかがだったでしょうか?AI技術がゲームプレイに大きな影響を与えることは間違いないでしょう。私たちは、AIが単に人間の仕事を代替する恐ろしい存在ではなく、人間の活動を一段と高いレベルに引き上げる存在になるよう、研究開発を続けていきたいと思います。
今から20年前の2003年4月。私達imcGAMESは、「Impress」「Motivate」「Connect」 というアイデアを基に会社を設立し、MMORPG専門の開発社を目指してここまで辿り着きました。
私達は20周年、第2の創業を行うという心構えで、AI技術を通じてMMORPGというジャンルの魅力を新たな次元へ引き上げることを目標とし、その過程で得た成果を皆様と共有したいと考えています。
<キ…Q…?>
これまでの20年間、ご愛顧いただいた皆様へ重ねて感謝お礼申し上げます。
今回の開発者レターは以上となります。ご熟読ありがとうございました!